まずはこの動画を見ることからはじめよう。
この動画は「Project Glass」と言って、小型のディスプレイを備えたウェアラブル端末のコンセプト動画になる。まず、このAR眼鏡と連動しているサービスがすべて既にGoogleから提供されているのことからも、GoogleとAR眼鏡の両者の相性の良さが見て取れる。そして、それだけではなく、この眼鏡はGoogleの決定的な欠点を補うことすらする。
Googleを使ううえでやっかいだったのは、「真に役に立つ情報を引き出すためのキーはユーザー自身が知っているとは限らない」ということだった。技術ではどうしようもなかった。Facebookはそれをすでに現実にあった人間同士のネットワークをインターネット上に持ってくることでそれを補完した。
もう少し突っ込むと、Googleが提供するWeb体験とは、「ネットサーフィン中は自分が探そうとした情報以外に到達しない」ものだった。そこになかった「偶然」を、FacebookやTwitterなどのSNS系のサービス(Twitterがその特性が顕著だろう)は提供していた。
GoogleはAR眼鏡によって「偶然」を手に入れることができる。僕たちは煮詰まったときには散歩をすることでアイデアを得る。偶然をモノにする。そして、Googleはそこに居合わせるという寸法だ。serendipity(セレンディピティ: 偶然を司る能力)とでも言おうか。Googleが手に入れようとしている能力のことだ。
アートプロジェクトのとき(参考: Googleのアートプロジェクトはすごく筋が通っている - 【旧】新書いとおかし)は抽象的だった危機感がより、具体化されて差し迫ってきている。Googleは僕たちがアイデアに詰まったときに散歩をして手に入れるような「偶然」まで支配するのか。
■ 蛇足: オレはこう考える
- それにしてもこのAR眼鏡、「Siriのもう一端」とも呼べそうな、その音声入力との相性の良さが印象的だ。
- この眼鏡によってGoogleはFacebookという亡霊(というよりもGoogleの株主の意向?)に狂わされて創造したGoogle+というサービスの借金を返済できる。最も、動画からも分かる通りGoogle+はただの友達との共有の場としての1機能に過ぎなくなるわけだが。まあ、数多くのサービスを統一されたプラットフォームから提供する利点はAppleとGoogle自身がスマートフォンの戦場で教えてくれた教訓だ(実はTwitterもそうだ)。
- コンセプト動画もよくできていて、Adwordsが含まれていないのが味噌だろうね;)
@ymkjp