2012年開業の渋谷ヒカリエのターゲットがマダムであるということはテナントの構成から明らかであり、実際それが功を奏しているのは平日の昼間にヒカリエを訪れたことがある者ならば如実に感じることができる。そこに若者は、いない。
歴史的に渋谷は西武がパルコをつくることでその「渋谷っぽさ」を形成していったことはそういった類の読書が好きな人ならば目にしたことがあるかもしれない。僕もその一人だった。そして実際に渋谷をそういう街だと捉えていた。それがすでに、東急の手によってすでにアップデートされつつあることに気づくまでは。
今、渋谷は、東急は、その対象年齢を引き上げつつある。月刊女性ファッション雑誌が対象年齢層を引き上げていくように。
なぜか。なぜ「若者の街」は大きく姿勢を変えようとし始めているのか。少子高齢化? いいえ、理由は、若者がいないからというだけではない。若者市場が存在しないからである。

上掲の図で、20代〜30代の貯蓄額を足しあわせても40代の貯蓄額には届かない。50代以上に至っては20代〜30代を足しあわせて2倍しても届かない富豪っぷりである。ここには需要と供給未満の問題が転がっている。どんなに demand があったって、無い袖は振れないのだ。
どんなにきゃりーぱみゅぱみゅがぱみゅぱみゅしても超えようのない「現ナマの壁」が立ちふさがっている。アダム・スミスもびっくりなこの状況。そこで安倍政権にできたのが所得移転を促進する政策であり、東急にできたのが渋谷ヒカリエだった。そんだけ。