「ICTベンチャー人材確保ガイドライン」
ベンチャー企業の人材確保に関する優良な日本語資料があったのでメモ。
記述内容が具体的なので実践の手引きになるのがポイントですね。先駆者の経験が言語化されてまとめられています。採用を受ける側にとっても参考になる資料だと思われます。
営業統括責任者もしくはその候補は、まずは社内に適任者がいないかどうか考え、どうしてもいない場合は外部から採用する。外部から採用する場合は、小規模な事業ユニットの中で営業を任された経験を持つ人材が最適である
– 新規事業立上げやベンチャー企業などで、ゼロから事業/業務プロセスを作りあげる経験を積んだ人材は適性が高い
• 単なる営業だけではなく、顧客、市場、競合を見据えたマーケティング的活動も求められるため、新規事業の経験は極めて有効となる
• また、大企業出身であっても、商社や、システム・インテグレータ会社のプロジェクトマネジャー、自己完結型の小さな組織を経営管理の単位にしている(セル生産方式など)一部メーカーの管理職経験者、TV局のプロデューサーなど、15-40名くらいの規模で、かつある程度短期間(1年以内)の事業を統括した経験がある人材は、活躍の可能性が高い
• ただし、即戦力が必要なベンチャー企業にとって、営業についてゼロからのスタートでは無駄が多いため、一定期間(最低2年間程度)の営業経験を求める
– 大企業で豊富なリソースや顧客基盤を活用して実績を挙げた人材には慎重を期す
• ベンチャー企業では、10億円を20億円に増やした経験よりも、ゼロから5億円を創り上げた経験を重視する
• 大企業では、仕組みや組織体制が整備され、十分なリソースがある環境であり、数字を伸ばすことは比較的容易と言える。逆にリソースが十分に与えられなければ、その力を発揮できないケースも多い
• ベンチャー企業では、商材も売り方も日々変化するため、新しい市場をどのように開拓していくかが求められる
採用にあたっては、入社時点で役員とする必要はなく、業務実績を確認した上で登用を検討する
– いかに優秀であろうと成果が出るまでは一定期間を要する。拙速な役員登用が他の役員や社員からの失望を招く懸念もある
• 経営参画が入社の条件として求められた場合は、入社3ヶ月後~半年後に期待する成果目標を明示し、目標達成を条件に役員登用を約束する。入社当初の肩書きは、例えば「経営企画室長」「アドバイザー」などがよい
• 採用時点で役員に登用してしまうと、短期的成果が出せない場合に、「鳴り物入りで経営参画してきたが、この程度か」といった認識が根付いてしまい、社内に“しらけムード”が漂ってしまう
– 営業パーソンは一般にコミュニケーション能力が高いが、社長と意気投合した結果、即役員に登用してしまうようなことには注意する
• 役員の採用を失敗した場合、財務的にも社内の動機付け的にもマイナス要素が大きいため、必ず観察期間を設ける
– 役員としての入社の場合も、そうでない場合も、重要なポジションとしての入社であることには変わりがない。採用した人材に対して、即戦力として活躍できるように早期に社内に馴染む環境整備をすることも、社長としての極めて重要な仕事である
• 社内慣習に不慣れなために実績が出せないということがないようにする
• そのために、まずは小さな成功を達成できるよう経営者が後押しをし、社内認知を早期に醸成することが必要となる
ざっと読んでみて「なるほど知らなかった」と思った箇所を抜粋してみました。汎用的な内容なので事業特性などに応じて活用しやすくていいですね。また、「面接で相手の言っていることが信じられない場合の対処法」も書かれています。実はこの対処法、このガイドライン作成の協力会社でもある某社の面接で「実践された側の経験」が僕にはあります。そう、新卒採用にもこの手法を使っているのです。つまり就活生にも役に立つ内容になっています。就活生に限らず、採用されたい人は、面接を受ける企業がどのステージにあって、それに応じて自分は何を求められているかをこの資料を通して知ることができます。ここまで踏まえていれば互いにミスマッチが起きることは防げますね。
グリー創業期に最も参考にしていたのは、プロノバ岡島悦子さんが監修された「ICTベンチャー人材確保ガイドライン」soumu.go.jp/main_sosiki/jo…
— Naoki Aoyagi (@naoki) January 5, 2013
ちなみに本資料は CEO of GREE International (US) の Naoki Aoyagi さんのツイートで知りました。