弟(と父さん母さん)へ
健太です。
弟、2年生になったんだよね。
進学進級おめでとう。
ちょっと長文だけど、大事なことを伝えておきたかったのでメールしました。
=== 兄が心配していること ===
いきなりで兄弟といえども不躾かもしれないが、兄なりの老婆心のあらわれだと思って
許してほしい。
弟は今、サークルに入らず、学業+かっぱ寿司でキッチンのバイトしているんだよ
ね。
兄はそれを複雑な心境でとらえています。
正直に言って、飲食店のアルバイトは1年以上続ける仕事じゃないと俺は思っている。
弟は以前「労働の大変さが分かった」「お金の有り難みが分かった」と言っていた。
うん、それは間違っていない。それを知れたのは本当に貴重な経験だ。
もちろん飲食店のバイトの経験は無駄になることはない。
弟が汗水たらしてがんばっていることをこんなふうに言って、むかつくかもしれな
い。
なので兄のこの助言は無視してもいいけど、少し考えてみてほしい。
父さんも母さんも、真面目に働く弟を見て嬉しい気持ちで弟を応援してくれている
ことだろうと思う(少なくとも、小言は言われても悪いようには捉えていないはず)。
働けるということはありがたいことだからだ。それは全く間違っていない。
でも、俺は、弟は、弟が置かれている環境は、もっと可能性があるという話をしよ
うと思う。
アルバイトの話をしよう。
基本的に学生はアルバイトをしなくていいなら、アルバイトをしないほうがいい。
厳密に言うと、「お金のために働く」ことは学生時代はしなくていい。
もっと「経験のために働く」ということをすべきだ。
飲食店も典型的だけれど、アルバイトとしての頂点は「レジ締めを任される」「在庫管
理を任される」「人材育成を任される」の3点セットであることが多い。
これができるっていうのはそれなりに良い経験であるとは思うんだけど、要するにヒト
モノカネをマニュアル通りに管理するってお仕事だから、それはつまり「言われたこと
を正確にこなす」ことが求められる性質の仕事なんだ(特にチェーン店の場合)。
結局のところ決まったことを決まった通りにやるということだから裁量は小さくて(も
ちろん新人アルバイトよりは大きいけれど)、お客さんの需要とかのビジネスのレイ
ヤーで考えることは少ない。
こういう経験は就職活動とかのアピールポイントとかでよく使われるので、それがあま
りに礼賛されすぎていると俺は思う。
アルバイトにそんな価値はない。投じる時間コストに対して得られる経験としては微妙
なところがある(現代で一番貴重なのは「時間」だ。どう時間を使うかは本当によく考
えるべきだ)。
フリーターとかでそういう立場にいる人も身の回りにいるかもしれないけれど、そうい
う人たちは、小国の王みたいな気分になって勘違いしがちだから、それを見てすべてだ
と思ってはいけない。
このアルバイトの話はもちろん例外はあるはずだけど、大多数はそうだと思う。
今の日本は、全国どこでもだいたい平等で、嫌な思いをすることもほとんどないと思
う。
でも、これからの時代は、日本の人口も減って、全員が豊かな社会というものは壊れて
いきます。
「一億総中流」の時代は壊れ始めています。
継続は力なりとか、愚直にがんばるとか、そういう価値観は今も根強い。
でもこれからは、将来性のある分野に、力を入れないといけない。だめなところでいく
らがんばっても、だめなままで、むくわれない。怖いことだけれど、これからの日本は
そうなっていくし、現代の日本以外のほとんどの国はそういう状況だ。
「変化は力なり」という時代になっている。ちゃんとがんばるべき分野でがんばらない
とだめなんだ。
兄がコンピュータやインターネットの可能性を過信していると思うかもしれない。
でも、米国の雇用状況を見ても、実際にプログラマとして働いてみても、この確信は揺
らいでいない。
ITは驚くほど自分でできることが増える。裁量が大きくなるんだ。今経営者になるとし
たらITというのは必須。それくらい大事なんだよ。
=== どうすればいいのか ===
弟が大学2年生をどう過ごすべきか。2つあると思っている。あくまでアドバイスだ
が、ぜひ検討してほしいと思っている。
1. プログラマーを募集している神戸の会社で働かせてもらう
「株式会社だいずらぼ」という会社で学生インターンシップを募集していた。
いろいろ調べてみたけれど神戸にはこういう形態(学生に配慮してくれるかたち)で募
集している企業はここしかなさそうでした。
そして兄から見てもやらせてもらえる業務内容もよさそう。
求められるレベルもとんでもなく高いわけでもない。
今も募集していると思うので、心の準備を整えて(話す台詞を考えて練習してみて)、
電話してみてください。
履歴書を持って来て、面接をしますと言われると思うので、真剣に働きたいと伝えて下
さい。
履歴書の内容とか、志望動機とか、心配であれば兄まで文面を送ってくれれば添削する
ので。
企業は長期でやってくれる人を採用したがります。
少しくらい嘘でもいいから「学校の研究以外の時間なら働ける。学生の間はずっとやる
という気持ちでいる」と伝えて下さい。
実際それくらい働く価値はあります。
もし採用が決まれば両立は無理だろうからかっぱ寿司は辞めることになる。
バイト先の人とも仲良くなって遊んでいるみたいだし、すごく頼りにされているだろう
し、辞めるとなるとすごく心苦しいと思う。
辞められたら困るので弟が辞めると店の運営がたちゆかなくなるかもしれない。
でも、それでも、弟は自分の将来の可能性を考えて決断してほしい。
ちなみにこの会社は神戸市中央区の会社なので岡本からは家までの中間地点でちょうど
いい。
http://daizu-lab.jp/recruit.html
2. 夏休みに東京でインターンシップをする
夏休みの予定はありますか? 友達との旅行、アルバイトでお金を稼ぐ。いろいろ考え
ているかもしれないけれど、本当に将来のためになることを考えてほしい。
2-3か月なら俺の部屋は提供するので使っていい。新幹線代とか、食費とか、日用品と
か、必要なお金は兄が出してあげよう。
こんなに前もってメールをしたのも、夏休みの予定を空けておけるようにするためだ。
ぜひ、夏休みに企業でインターンシップをしてみてほしい。残念ながら東京に優良な会
社が集まっている(大阪にもあるにはあるけど量が段違い)。
レベルが高いので、応募すると決めたら、「募集要項」とかを見て、自分のスキルアッ
プに励んでほしい。
そのためにバイトを辞めて時間を確保する価値は俺はあると思うぞ。バイトしなきゃい
けないお金が必要なら、本当に必要だと判断できたら兄が送金してもいい。
弟は物心ついて以来、ずっと三木市にいる。一度、夏休みの2か月だけでも親元から
離れてみるということは、予想できないくらい価値があることだ。
ちなみにこういう企業が募集する。去年の例↓
【有名企業】
・株式会社サイバーエージェント
http://www.cyberagent.co.jp/recruit/fresh/internship/technology.html
・株式会社サイバーエージェント
https://www.cyberagent.co.jp/list/internship.html
・VOYAGE GROUP http://katryo.hatenablog.com/entry/2012/09/19/210446
【その他】
・株式会社エスキュービズム
http://sk.kaisyanavi.jp/contents/internship-2012-summer-sk/
・株式会社エスキュービズム(アプリ)
http://sk.kaisyanavi.jp/contents/internship-2012-summer-sk/app/
※毎年いろいろなインターンシップがあるだろうから、情報を見つけたら順次、送って
あげよう。
=== 準備 ===
ゴールデンウイークまでに、できるだけ早く父さんと母さん、弟とで、一度機会をも
うけて改めて話してみて下さい。
将来に関わる大事な話なので、恥ずかしがらず真剣に話して、検討してみて下さい。
技術に関しては「完璧になってから応募」とかは、考えがちだけど無理なので、まずは
飛び込んでみること。
でないといつのまにか就活の時期になっていることになるぞ。
もちろんインターンシップをするなら夏までに力を付けるに越したことはないが。
以上、兄からのアドバイスでした。
おせっかいかもしれないけれど、これは本当に大事なことだと思うからメールしまし
た。
考えてみて、父母と話してみて、どういう結果になったのか返信をもらえると嬉しい。
次男は警察官になろうとしているし、俺から見てもそれが向いていると思う。
弟も、自分の将来のことを考えてみて下さい。
いつやるの?
今でしょ!