大和ハウスグループの大和ホームズオンライン(東京都千代田区)はこのほど、東京カンテイ(東京都品川区)と連携して、中古マンションストックの情報を集約した情報サイト「中古マンSHOW」を始動させた。中古物件購入の窓口として、購入の仲介につなげる狙いだ。
こちら、僕は大和ホームズが東京カンテイのデータを購入して使わせてもらうことで、中古物件の販売を伸ばすビジネスモデルだと理解しました。
さっそくそのサイトで渋谷駅周辺の情報を表示してみました。
おお、既存の不動産関連の相場サイトとユーザーインターフェースは似通っていますね。
データとしてはマンションの収益力指標(マンションPER)や資産価値の指標(同PBR)が載っているのが特徴的です。
この辺りの指標を気にしてマンションを購入する一般人は多くなさそうなのでかなりのマニア向けの情報だなぁという印象を受けるのですが、投資物件を探している人には訴求しそうなデータです。
大和ホームズの目的が「中古物件の販売を伸ばしたい」ということであれば購入者は居住用の住戸を探している人でなく、投資家でもよいので、これはこれでよさそうです。
不動産投資は実物があるということで心理的な障壁が低くライトな個人投資家には根強い人気があるそうですから、大和ホームズはそういった層をうまく取り込めればデータの対価以上の利益を得ることができるという算段なのかもしれません。
そして上掲のスクリーンショットは個別のマンションのページですが、ここには物件を購入する場合の価格と、これを貸しに出した場合の賃料、さらに表面利回りが掲載されています。
やはりこのサイトのメインターゲットはライトな個人投資家だと見てよいのではないでしょうか。
さて、ここまでで新サイトのチェックはおしまいにして、ここからはデータを提供した泣く子も黙る東京カンテイの保有データ数を見ていきます。
東京カンテイ社のページから引用してみます。
東京カンテイの保有データ数(2013年11月末現在) 全 国 首都圏
(1都3県)近畿圏
(2府4県)中部圏
(4県)九州・沖縄
(8県)マンション 登録物件数 119,200件 62,400件 20,300件 10,800件 11,000件 登録棟数 146,800棟 81,000棟 25,700棟 12,200棟 12,100棟 登録総戸数 6,704,000戸 3,499,000戸 1,439,000戸 470,000戸 516,000戸 カタログ画像データ 2,300,000枚 1,267,000枚 466,000枚 203,000枚 154,000枚 中古マンション事例 9,854,000件 5,556,000件 2,181,000件 845,000件 480,000件 賃料データ 3,525,000件 2,440,000件 676,000件 96,000件 189,000件 土地 土地価格データ 4,684,000件 1,956,000件 1,958,000件 769,000件
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今回のオープンしたサイトは首都圏のみが対象ということでしたので、東京カンテイが保有している首都圏の登録総戸数を太字斜体にしました。
この表によると賃料データは登録総戸数よりは少ないとのことで、先ほど見たサイトでもマンションのページでは賃料データが空欄になっていたのもこの辺りの事情によるものだと推測されます。
「賃料データ」の定義が分からないので何とも言えないですが、時系列で蓄積されていっているものをカウントしているにしては少なすぎるような気もするので、登録総戸数のうち賃料の実績を把握している戸数が「賃料データ」であると仮定すると、登録戸数のうちだいたい7割ほどの物件の賃料を把握しているということになるのでしょうか。
ちなみに東京カンテイ社のデータの取得経路は上掲のフロー図のようになっているそうです。
ふむふむ、データを保有していると強いですなぁという話はおいておいて、こういう不動産取引の成約価格の情報は公共性が高いものであるとの解釈が広がっています。
「不動産の成約価格は個人情報ではない」と国土交通省は解釈を変えてます。新データベースを創るため。2015年試験運用開始。当初は業界人のもの。が、やがて公開されるでしょう。するとこんなことができたりします。個別不動産の理論値表示⇒ http://t.co/nMr0Kd8my4
— 長嶋修 不動産コンサルタント (@nagashimaosamu) April 12, 2013
この辺りの動向にはぜひ注目していきたいですね。